中学受験・高校受験・大学受験・帰国子女を含む英語教育全般および
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2014.9.16
EQが向上すると、様々な他の能力も伸展する場合が多いと言われています。
今回はそうした現象の裏付けとなる、研究者たちの理論や提言と、それを応用して実際に効果があった子供たちへの指導方法をお教えします。
思考や意思決定には、情動の存在が不可欠である、という事は研究者の間で異論は無いようです。
そして、情動の思考に与える影響は大きく、例えば、ポジティブな情動は、思考を拡張し、ネガティブな情動は、逆に思考を狭めるということが実証されています。
ポジティブな気持ちは思考を広げ、アイデアをたくさん生まれやすくし、逆にネガティブな気持ちは思考を狭め、注意力を強める。
したがって、この知識の活用例としては、問題解決や独創性に富んだ企画の立案などの時には、ポジティブな情動を呼び起こすようにする事が助けになり、
間違い探しやより慎重な取り組みが必要な時は、ネガティブな情動を引き出すようにすればよい、ということになります。
次にご紹介したいのが、情動や気分と記憶との関係です。
心理学の世界で、気分適合記憶力(mood-congruent memory)とか感情依存記憶力(affect-dependent recall)とか呼ばれているものです。
その内容は、記憶しようとした時に体験した気分と、記憶したことを思い出そうとする時の気分が近ければ近いほど、よりよく思い出すことが出来るというものです。
ある情報を再現したい時に、その情報を入手した時と同じ気持ちを抱くことが出来れば、より正確にかつより豊富に再現できるというのです。
これは定説になっているもので、大いに活用すべきでしょう。
特に、受験勉強などにはもってこいですし、子供たちには早くから教えてあげましょう。
この理論からすれば、基本的には、ながら勉強などもっての他ということになります。
試験中に、ながら勉強のようなリラックス感は通常期待できないからです。
但し、例えば、好きな音楽を聴きながら勉強に取り組むと、即座にフローの状態になるなんて事がもしあれば、OKかもしれません。
要するに、思い出す時に、一番適した情動を作り出せるようにするところがミソだという事です。
記憶についても同様で、情動を練り込んだ記憶行為の方が、はるかに効率的で長持ちする事が判っています。
例えば、解り易いと評判の良い教師は、こうした知識を授業に活かしています。
合わせて、以前ご紹介した、ボデイランゲージの重要性を科学的に
立証する、マレービアンの法則(前回分で紹介しました)も実践している場合がほとんどです。
声のトーン・強弱、身振り手振り、間の置き方、視線の強弱、表情・・・・・
そして、記憶と情動との結びつきを強め、所謂、記憶術につながる技術も駆使しているものです。
一例を挙げましょう。
巨大なトマトから、元気な熊が飛び出してきた、なんて話す訳です。
子供たちの脳裏には、驚きの映像が浮かびます。
これ一発でOK。
子供たちは、トマトの生産量全国No.1は熊本県と覚えられる訳です。
このことは、子供たち自身も活用できます。
記憶することが容易になるからくり、つまり、強い情動を呼び起こすような映像を使って覚えると覚えやすいという事を、具体的に教えてあげましょう。
しかも、思い出す状況に出来るだけ近い気分で覚える(先程お話しした気分適合記憶力のことです)となおさら良い、ことも付け加えましょう。
受験準備であれば、もちろん、本番に臨んでいるつもりで、ということになる訳です。
理解するまで時間のかかる子もいますが、具体例を挙げ、実際にいっしょに
検証していく事を何度も繰り返せば、この原理だけは入って行きます。
一度獲得した情報は、必ずいつか役に立ちます。
実は、私の経験上、このような試みは、かなり威力がありました。
こうした、ちょっとした工夫で点数が変化すると、それが効を奏して、やる気と自信が強まり、眠っていた才能が正に目覚めるようなことが起きることがあるのです。
是非試していただきいと思います。