中学受験・高校受験・大学受験・帰国子女を含む英語教育全般および
教材の出版とテスト会の運営、EQ育成などトータルサポートする田島教育グループ
2012.7.9
「先生なんで勉強しなきゃいけないの?」
塾を開いて間もなく突きつけられた難問です。
質問の主はほとんどが小・中学生でしたが、中には高校生もいたはずです。
こうした質問をしてくるのは、案の定、成績が低迷していたり、勉強から逃避することばかり考えている子供たちがほとんどだったので、
「つべこべ言わずに勉強すればいいんだ。勉強はお前たちの義務なんだ」
などと誤魔化しながら、今から思えば、お恥ずかしい限りですが、
実は、考え込んでしまったのです。
本を読み漁ったり、これはという人に聞き回ったりしましたが、なかなか納得のいく答えに辿りつけなかったので、逆に子供たちに聞いてみました。
「学校の先生は何て言ってる?」
「お父さんやお母さんは何て言ってる?」
答えはほとんど同じでした。
自分のためだ。
自分が幸福な人生を歩むために必要だから勉強するんだ。
そこで子供たちに聞きました。
そう聞いてどう思う?
もし本当に自分のためなら、そんなに幸福にならなくてもいいから勉強なんかしたくない。
欲張って幸福になるために勉強するより、幸福にならなくてもいいから遊ぶ方がいい。
自分のためなんだから、勉強しなくても、誰にも迷惑を掛けないでしょ。
じゃあ、お前たちを大事に大事に育てているお母さんやお父さんの気持ちはどうなるんだ、などど議論していっても、なかなか話が進みません。
そうこうしている時に、私は、あのアインシュタイン博士の言葉に出会うのです。
博士を手伝う研究室の学生達が、ある日こう尋ねます。
「先生は一体何のために誰のために、一年中休みも取らず、朝から晩まで紙と鉛筆を握りしめて、髪の毛をかきむしりながら、苦しんでいるんですか?
とても私達には、そんな人生は送れそうにありません。」
これに対して、博士はこう答えられたそうです。
「誰のためだって? そりゃ、人の為だよ。誰か知らない人のためだよ。私は人生の価値についてこう考えている。
生涯を通して、どれだけ多くのお金や名誉や名声をを集められるか、ではなく、どれだけ多くのものを人に与えられるかだとね。
だから、理論に行き詰ったりして、確かに辛い時もあるけれど、そんな時も含めて私は充実した喜びに満ちた毎日を送っている。」
私は納得しました。
その時から今日まで、勉強は人のためにするものだ、と子供たちに言い続けてきました。
早く一人前の大人になって、人々の役に立てるようになる為に準備してるんだ。それが勉強なんだ。
誰もが、みんな、将来必ず何かの役に立つ。
そのためには準備が必要なんだ、と。
年齢差もあれば個人差もあります。
私の言う事の意味を、どれだけ理解できたか定かではありませんが、
勉強することに対して、自分なりの意味付けや意義付けができ
その価値に気づいた子は必ず変化します。
積極的になり、集中力が増し、忍耐力が強くなります。
結果、成績が上がります。
昨年のあの大震災の直後、ある一人の優秀な小学五年生が、受験勉強を続けるのが苦痛だから、
受験を諦めたいと言っている、何とかならないかという相談を受けました。
彼は将来建築家になりたいと言っている、と聞いていたので
私はその子にこんな風に話しました。
「将来君がどんな津波にも耐えられる堤防を設計できたら、どれだけ多くの人々を救えるかわからない。
そんな建築家になるためにはその準備が必要だ。
その準備の一つが、君が目指している受験だ。
だから、君の毎日の勉強という努力の積み重ねは、まだ会ったこともない多くの人々たちの為ともいえる。
それに、そんな凄い建築家になれる可能性はだれにでもある訳ではない。
少なくとも、君は現在かなり上位の成績を上げている。
だから、可能性を授けられた者の責任という意味でも、今逃げてはいけないのではないだろうか。
こんな風に考えてきても、毎日の勉強を苦しいと思うだろうか。
受験から逃げたいと思うだろうか。」
その子は自らの受験について、その子なりの意義付けができたようで、間もなく勉強に復帰しました。
現在も頑張っており、成績も伸びています。
価値観・思想の進化・成長が学力を押し上げる。
目の前に次から次と現れる、紛れもない事実でした。
しかし当時は、その間に介在して活躍していたEQの存在など全く知りませんでした。
集中力が増し、忍耐力が増し、成果が上がり、自信をつける。
そして自己肯定感も増す。
これは正にEQが向上した証左です。
価値観の進化が、EQの開発を促したのです。
その結果、学力もアップしたのです。
新皮質の辺縁系に対するグリップ力がアップしたのでしょう。
価値観・思想の強化がEQの開発に繋がり、学力も増強した経験をもう一つ挙げましょう。
詳しくは次回お話します。