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EQの開発③情動変化のルールを知り活用する EQ開発講座

2012.10.14

前回、ご自分の情動変化に関する記録をつけてみる事をお薦めしました。

いかがでしたか。

多分多くの方が、その傾向なり特徴なり、ある種のパターンの存在に気付かれたと思います。

それはそれだけで、非常に有益な情報です。

ご自分の生活上、情動変化の予測がある程度可能になり、選択または、コントロールの余地が生まれたことを意味するからです。

研究者によると、情動の変化(推移)には、一定のルールがあることが実証されています。

同時に、個人個人にまつわる一定の傾向の存在も認められています。

まずルールの方ですが、ルールと呼ばれるだけあって、以外に論理的な展開を伴っているようなのです。

例えば、ネガティブな情動で考えてみます。

こんな状況はあり得るでしょうか。

怒る→イライラする→興奮する→憎しみも交えて激高する→癇に障る→腹が立つ→不満がつのる

何かおかしいですよね。

こんな順番だと納得できそうです。

イライラする→癇に障る→不満がつのる→腹が立つ→怒る→興奮する→憎しみも交えて激高する

いかがですか。

多少違いを指摘される方もいらっしゃるかもしれませんが、大方、こちらの方が座りがよいと感じるのではないでしょうか。

こうしたルールの存在に気づき、それを活用することによって、自らの情動を上手く調整したり、管理したりすることは元より、

コミニュケーションの質をより高めることが可能になると、研究者たちは教えています。

話相手の情動の変化を、事前に察知することが、ある程度可能になるからです。

人付き合いが上手く、コミュニケーションの取り方に長けていると言われる人は、きっと無意識の内にこうしたルールを見抜き活用しているのでしょう。

次に個人にまつわるパターンについてです。

これは子供たちへの指導にもつながるのですが、記録を取ることで明らかになった、自分が苦手とする情動への対処に、このパターンの情報は役に立ちます。

自分が持て余す情動は、怒りであったり、落ち込みであったり、嫉妬であったり、いろいろでしょうが、その情動を引き起こす状況を書き上げ、

その状況の連なりを想定し、問題の情動を弱める工夫をしていくのです。

具体的には、以前から何度もお伝えしていますが、一定の言葉を唱えたり風景を思い浮かべたり、メロディーを思い出したりして、その情動を消していく訳です。

すぐにふさぎ込んでしまう子、すぐにキレる子、すぐにふて腐れる子・・・・・

こうした子供たちに、この技術を教えることは、私の経験上、

EQを開発していく上で非常に有益であると共に、将来にわたっての大きな財産になると思われます。

また成功事例の中には、こうした指導がきっかけになって、

国語の読解での心情把握に開眼し、苦手だった国語を克服した生徒もいます。

ところで、情動の変化に関する一連のお話しの中で、実は重要な事柄が一つ抜けているのです。

それは、情動の変化の記録を実際に付けられた方は、間違いなく経験されていると思うのですが、

情動や感情や気持ちという言葉では言い足りない、何か別の存在がある。

そう、別の言葉に直せば、気分というものの存在です。

研究者は情動(emotion)と気分(mood)とを、かなり厳密に区別しているようですが、

正直なところ、私にはまだ理解できたとはいえません。

ただ、この程度の理解で充分だとも思っています。

これまでにも、何度か申し上げましたが、よく、あたかも研究者のような態度で、学術的内容に拘泥される方がいらっしゃいますが、

私はそれにはなじめません。

目的はあくまで現実の生活のより一層の充実にあるのですから、その一点に役立つだけで十分だと思うのです。

また心理学の世界では、「過度の分析はポジティビティを失わせる」ということを立証しているそうなので、

その意味でも理論的に細部に拘泥するのは得策ではないと思われます。

「気分とは、長く継続する気持ちで、その生じる原因はなかなか特定できず、肉体をも含めた生体全体の化学反応の一部」

というような定義が見つけられますが、大事なことは、要するに、感情や情動とは違うものだという認識、だと思われます。

情動は、そのほとんどが、起こった原因が判り、その強弱により多少の差はあっても短時間で変化していく性質をもっています。

ですから、気分とは切り離して対処できるし、そうすべきであると研究者たちは教えています。

気分に対しては、これまでかなり回数多くお話ししてきた、楽観性獲得の方法論で、自分の望む気分への方向転換が叶うようです。

次回からは、獲得すべき心理学や脳科学の基礎知識の残りの部分を総ざらいしていこうと、考えています。

主要なものは、今回までで、およそお話しできたとおもうからです。