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2012.10.9
笑う動物は人間しかいないそうです。
元々人間同士のコミュニケーションのツールとして受け継がれ、発達してきたと言われています。
確かに相手に敵意が無いことを示し、良好な関係を望んでいる意思表示として有効であることは、容易に想像できます。
でも、人間のこの笑いには、もっと奥深い働きのあることが研究者たちによって明らかになってきています。
利他行為という、やはり人間固有の行動があるそうです。
自分の利益を犠牲にしても他人の利益を確保するような行為です。
実は笑いにも、この利他行為に似た一面があるらしいのです。
他人を和ませ、喜ばせるために笑う。
それがうまく行ったら、その事が、自分の喜びの創造につながる、というのです。
ここで判ることは、笑いというのは、自然発生的なものばかりでなく、意図的に作り出されたものもある、ということです。
さらに興味深いのは、最近まで情動が主導して笑いを作り出してもその逆は確認出来ていなかったのが、それが確かめられたというのです。
つまり、笑うことによって、笑いにまつわる情動、例えば、喜び・安心・希望・愉快・誇り・・・・などを呼び起こすというのです。
EQとは情動に関する知能で、自らの情動を識別したり、上手に管理調整制御して活用する側面と、
コミュニケーションに必要な他人の情動に対する洞察・理解・働きかけだと概ね定義されていることを紹介してきましたが、
この笑いによる情動喚起の情報は非常に有益だと思われます。
楽観性の確保という観点から見ても、落ち込んでしまった時、悲観的・消極的になりかけた時など、正に笑って吹き飛ばせばいい、という事になるからです。
無理矢理でも、大声で笑えば、確かに情動の変化は自覚できます。
深呼吸と同様に、毎日何度でも、実践すべき、極簡単な工夫だと思います。
是非子供たちにも教えてあげていただきたいと思います。
ただ、いわゆる愛想笑いは有害である、という論文もあるので要注意です。
怒りや苛立ちを押し殺し、愛想笑いに務めると、消極的・否定的な情動が肉体に呼び起こすのと同様な反応が現れるというのです。
例えば、血圧の急激な上昇や心筋への血流の減少などです。
さて今回はもう一つ触れたいことがあります。
それは情動を上手く管理していくにあたっての、非常に有効なヒントです。
薬品名は覚えていませんが、テレビ宣伝でこんなのがあったと思います。
あなたの風邪は、のどから?頭痛から?それとも熱から?
実は情動の変化にも、個人差があるのですが、一定のパターンがあることが確かめられているそうです。
つまり、こんなブルーな気分のときに、人間関係についての悪い情報が入ってきたりすると、どん底に落ちやすいとか、
この程度の苛立ちのうちに気分転換できれば大事にいたらないとか。
いつも、こんな気分が出発点で、次にこんなイライラに変化し、最悪こんな爆発に至る、とかです。
次回もう少し詳しくお話ししますので、それまでの五日間、できましたら、ご自分の情動変化の特徴を記録してみて下さい。