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2012.8.14
前回は小脳に関する脳科学上の知識をご紹介しました。
小脳には、情動の影響を弱める働きがあるということでした。
具体的には、情動と運動との関係に置き換えて、「運動と情動とは互いに相手を抑制する傾向がある」という情報でした。
この知識を積極的に活用して、体を動かすことによってEQの不調を改善させましょう、というお勧めでした。
では、体を動かせない状況ではどうしたらよいのか。
これが今回のテーマになります。
この場合も、脳科学は、役立に立つ小脳の働きに関するデータを提供しています。
実際に運動しなくとも、脳内で運動を意識しただけで、小脳は感覚や情動の働きを抑制することが判っているというのです。
この知識を生かす具体的な方法論としては、「自己説明」や「自己報告」と言われるものが考えられます。
自己説明というのは、自分が今行おうとしている動作や実際に行っている動作について、自分自身に説明することです。
心の中で無言でやって構いません。
例えば、「今右手を上げようとしている」とか「左手で右耳を引っ張ろうとしている」とか、
実際に行っている場合なら、「階段を降りる」「右足から降りる」「続けて左、右、左、右、・・・」とか。
自己報告というのは、ただ今現在における自分の感覚や情動を自分自身に報告することです。
これも、声に出さず心の中で行って構いません。
例えば、「時計の音が聞こえる」とか「指先が少し冷たい」とか「腕に机の木の感触が伝わる」とか。
また、「今イライラしている」とか「不安を感じている」とか「悲しくなってきた」とか。
こうした報告や説明という作業が実は小脳の働きを活性化させ、
結果、情動の悪影響が弱まる効果が期待できるというのです。
この自己報告や自己説明については、以前ご紹介しました中村天風先生も
「心の使い方」の重要点として精神統一を挙げられる中で、その具体的な体得の仕方の一つとして薦められています。
また、禅や瞑想に関する文献にも数多く登場してきますし、
何千年も以前から発見されていた人類の叡智の一つと言えるのではないでしょうか。
脳科学を中心に、禅や瞑想など、様々な分野を横断的に解明し非常に有益な、
多くのヒントを紹介されているのが、高田明和博士の著作です。
今回の内容に興味を持たれた方には、ご一読をお勧めいたします。
ここでまた繰り返しになりますが、効果については個人差があります。
ですから、まず試してみることが最重要です。
実際にに活用してみないことには何も始まりません。
万一効果が無かったとしても、何も損なことはないはずです。
もし何らかの効果が見いだせたら、それこそ、一生ものの宝になり得るのではないでしょうか。
私は私が経営している塾の先生たちにも、まず自分自身で活用してみるようにお願いしています。
その上で、保護者のみなさんや生徒たちにもお教えするように指導しています。
少しでも効果が感じられたら、繰り返し体験する事が大切です。
繰り返す中で、自分に最適な方法が確立してゆくからです。
同時に、そうした成功体験の積み重ねこそが、ご自分の情動に対する
洞察力や、情動を調整・管理し活用することへの自信を育ててくれるからです。
一度しかないこの人生を、人間らしく、自分らしく、強く、たくましく、しなやかに生き切るのに、きっと役に立つはずです。
小学4・5年生から、子供たちもちゃんと理解できます。
是非教えてあげてください。
次回は、EQ調整についての、三つ目のヒントについてお話しします。