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EQの開発③EQの不調を回復させる特効薬Ⅲ EQ開発講座

2012.8.19

EQの不調を回復させる方法についての最終回です。

最近注目されている脳内物質の一つに「セロトニン」があります。

心のバランス調整に不可欠な、神経伝達物質と言われています。

脳波には、α波やβ波やδ・θといった4・5種類の区別があり、その波形ごとに、脳の状況は大きく変わると言われています。

つまり、眠りに入っている状態や目を覚ましている状態、過度に興奮していたり、緊張していたり、またリラックスしていたり等々で、

現れる波形が変化すると言われています。

波形に対する細かな評価や、変化を起こす原因についてはまだまだ議論があるようです。

ただ、覚醒時では通常β波が支配的であり、適度なリラックスと集中力が得られるとα波が現れ、

特に、以前お話しした「フロー」の状態ではほぼ間違いなくα波が検知できる、という事については争いはないようです。

人間の体の基本的な生命維持機能を担っているのが、自律神経と言われる系統です。

意思とは関係無く、自律的に働いて、血液を循環させたり、体温を調節したり、

内臓を動かして、消化吸収したり、汗をかいたり、様々な働きをしています。

交感神経と副交感神経とが拮抗して働き、一定のバランスを保っているとされています。

その中枢は視床下部と言われるところで、情動を司るあの辺縁系とは隣接しており、相互に影響し合うことが判っています。

情動の調節機能が不調の時は、何らかの肉体的な不調も引き起こしている可能性が高いと言えます。

実際、強いストレス状態にある時は、交感神経が強く働いていて心臓の拍動や呼吸が速くなるそうですが、誰もが経験していることだと思います。

さて、ここで質問です。

情動調節の不調を改善させる方法として、今まで整理した知識から、セロトニンの分泌を促したり、α波を引出したり、

副交感神経の働きを強めたりすることが考えられますが、これらすべてについて、しかも一瞬にして効果が期待できる方法とは何でしょうか。

エビデンスも整っており、専門家の間でも、ほぼ争いが無いと言える方法です。

実は誰でも知っているはずの事です。

本当は、ここでページでも変えたいところなんですが、仕方ありません。

正解は「深呼吸」です。

正解された方も多いと思いますし、たまたま思いつかなかった方も

「なーんだ。そんな当たり前のこと言うなよ。」

と少し立腹されたのではないでしょうか。

それほど、深呼吸の効用はポピュラーのはずです。

しかし、普段の生活で活用している方はどの位いらっしゃるでしょう。

私の経験上、非常に少ないと推測されます。

是非ここで深呼吸を再評価していただき、活用してみてください。

くどいようですが、試してみなければ何も始まりません。

その上で、子供たちにもっと積極的に教えていただきたいと思います。

日常的に、ごく普通の生活態度の中に織り交ぜていくことをお薦めいたします。

経験上、驚く程の効果に気付かれるのもまれではありません。

私が申し上げているのは、あくまで深呼吸です。

これがいったん呼吸法となると、諸説あるようです。

宗教的な教えから、気功や気、ヨガ、瞑想、禅、武術等々。

それぞれについて極めるのも良いとは思いますが、

科学的に効果が立証されている深呼吸を、まず日常的に実行してみてはいかがでしょうか。

EQの調整についての対策をお話してきました。

落ち込み易い人と落ち込みにくい人。

不調からの回復が速い人と遅い人。

どうしても気質の違いはあるようです。

しかし、落ち込み易い人が、落ち込みにくい人に比べて、常に不利かというと必ずしもそうとは言えないのです。

今回お話しした三つの方法以外にも、まだまだEQを支える手立てはありますし、

自分の気質によりそうように補強策をとれば、今度は逆に、落ち込みにくい人より優位な場面も出てくるのです。

例えば、落ち込みにくい人からは、「なんでそんな事でいちいち落ち込むのか理解できない人」とのコミュニケーションです。

本来落ち込み易いが、それを何とか自分にあった方法で、自分の望む姿に改善した人の方が、

子供たちにとって、より指導者として適任である場合も少なくないのです。

次回はEQを開発していく上で、もっとも重要だと言われている、楽観性についてお話しする予定です。