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2012.11.4
前回の内容で不足があったようなので、まず、その補足をします。
子供たちの、情動にまつわるボキャブラリーを増やすには、具体的にどうしたらいいのでしょうか。
まず、外から入れない限り増えない、という当たり前の事を認識していただきたいと思います。
先に言葉が頭にあって、情動体験が後からあって、あーこれが・・・・・と言ううんだな、でももちろんいいのであって、
体験を積み重ねてからでないと言葉は身に付かないということはありません。
したがって、常日頃、親なり教師なり、周囲にいる指導者者が、そうした語彙を付けてあげるという意識が重要だと言えるでしょう。
方法論としては、第一に読書です。
物語・小説を中心に伝記や歴史物もいいでしょう。
読書習慣は、その楽しさや喜びを知るきっかけが大切です。
子供の成長段階に適した、本人の興味に合致した本を与えるよう考えましょう。
その上で、情動に関する語彙を日常の会話でも使うように心がけるのです。
周囲の大人たちが、意識して気持ちを言葉に表すようにするのです。
子供にも、どんな気持ちか、機会があるごとに聞くようにしましょう。
上手く表現できない時こそ、語彙を増やすチャンスです。
候補になる言葉を挙げたりしながら、教えてあげましょう。
言葉にすることができたら、その情動はその人のものだと、研究者も述べています。
情動に注意を向け、興味を持ち、表現することの大切さを合わせて教えましょう。
そして、前回までに何度もお話ししてきた事、つまり、人を動かすのは、情動であるとか、コミュニケーションにおける情動の重要性や、そのやり取りの難しさも教えていきましょう。
コミュニケーション上の情動の認識には、誤解と錯覚がついて回ることを早い段階から伝えたいものです。
そして、不要な対立を防いだり、人間関係を改善したりするのにも、情動の識別が大変役に立つ事を体験させましょう。
主張の対立ではなく、単なる情動の読み違えが障害になっているケースの存在に気付かせるのです。
このような学習は、その後の人生に大きな可能性を与えてくれると思います。
読書以外では、自然に触れる体験や、生き物との交流などを通じて、情動が躍動することが有効だと思われます。
その躍動の時々で、新たな表現を学ぶことが出来るでしょう。
同様の理由で、音楽や絵画など、芸術との接点も薦められます。
思考や意思決定には、情動の存在が不可欠である事は前回詳しくご紹介しました。
そして、その情動の役割の内、代表的なものについては、以前お話ししました。
ポジティブな気持ちは、思考を拡張し、ネガティブな気持ちは、逆に思考を狭めるという事実です。
ここでもう一つ重要な知識をお知らせしたいと思います。
それは、情動や気分と記憶との関係です。
心理学の世界で、気分適合記憶力(mood-congruent memory)とか感情依存記憶力(affect-dependent recall)とか呼ばれているものです。
その内容は、記憶しようとした時に体験した気分と、記憶したことを思い出そうとする時の気分が近ければ近いほど、よりよく思い出すことが出来るというものです。
ある情報を再現したい時に、その情報を入手した時と同じ気持ちを抱くことが出来れば、より正確にかつより豊富に再現できるというのです。
これは定説になっているもので、大いに活用すべきでしょう。
特に、受験勉強などにはもってこいですし、子供たちには早くから教えてあげましょう。
この理論からすれば、基本的には、ながら勉強などもっての他ということになります。
試験中に、ながら勉強のようなリラックス感は通常期待できないからです。
但し、例えば、好きな音楽を聴きながら勉強に取り組むと、即座にフローの状態になるなんて事がもしあれば、OKかもしれません。
要するに、思い出す時に、一番適した情動を作り出せるようにするところがミソだという事です。
この情動の活用についての知識は次回にも、再度触れたいと思います。