中学受験・高校受験・大学受験・帰国子女を含む英語教育全般および
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2012.11.19
前回の続きです。
次に、五分五分の子を考えます。
どんな情動を抱いているでしょうか。
不安や怖れはもちろん希望や喜び、そしてめでたく合格できた時に抱くであろう誇りや満足感もあるでしょう。
それらが混然一体となって湧いては消え湧いては消えと言う状態が一番近いと思われます。
だとすれば、そのポジティブな情動をより多くしてあげることが、勉強の質を高め合格可能性を高めていくと考えられます。
つまり、合格の瞬間から逆算した計画をいっしょに作成し、少なくとも直前には合格を本人が確信するところまで、日々確認し、その進歩を誉め続けることです。
最後に確実と言われている子です。
このレベルの子が、以外に指導が難しいことがあります。
まずその情動をこれまでと同じように見てみましょう。
受験生ですから、不安や恐怖といったネガティブな情動はもちろんあるでしょう。
でも確実と言う判定なんです。
喜び・楽しみ・ほこり・自信・自負といったポジティブな情動が基本で、充実した気分をかなりキープできているはずです。
しかし、中には、うんざりとか、飽きとか退屈、といった独特なネガティブ感情がでてくることがあります。
また、今すぐ試験を受けたい、あと二か月以上も待てないなど、逃避という情動が起きてくることもあります。
上位生が失敗するケースは、もちろん突然の病気や様々なアクシデントによるものが多いのですが、そうでもないものも意外と多いのです。
それは何かといいますと、広い意味での油断です。
広い意味と申し上げたのは、先に挙げたように、飽きとか逃避とか、かなり違った情動に起因するものがあるからです。
合格確実と言われて、ますますやる気がでてくるというのが一般に考えられる姿ですが、実の所、人間はそう単純ではないようなのです。
ではどうするか。
油断を防ぐ方法はあるのか。
勉強態度が変化したり、勉強時間が変化したり、外形上変化が現れるものはまだいいのですが、中には本人も最後まで気づかないような油断もあり得るのです。
こうした事態も想定して考えるべきです。
通常とられる指導は、直接指摘することです。
論理的に、油断すると失敗も十分あり得ると諭す訳です。
本人はもちろん「解った」と言うでしょう。
でも情動の面で追いつかない場合があるのです。
理屈の上では理解できている。
理性的には、これまでと同じように頑張らなくちゃ、と思っても、何故か以前のようにフローに入り込めない、ということがあり得るのです。
正にEQが問われる場面です。
それに、こうした指摘は、結局「落ちるぞ」という脅しを含むので、ネガティブな情動を引き起こしやすいのです。
ちょっとした未勉強分野の発見や、難問との遭遇の時、そうしたネガティブなメッセージが一挙に増幅されてしまい、自信崩壊に導くこともあり得ます。
ではどうするか。
私が一番いいと思い実践してきたのは、二つの指導です。
一つは、勉強の意味、受験の意味、そして進学してからの人生の価値。
それらをもう一度認識させてあげるのです。
勉強は人のためにやっているんだ、という、以前申し上げた、アインシュタイン博士の教えに通ずるあれです。
もう一つは、目標をほんの少し高くしてあげるのです。
そう申し上げると、そうか、志望校のランクを上げればいいんだ、と思われるかもしれませんが、基本的に、それはあまり良いことだとは思えません。
この時期、第一志望校がころころ変わるというのは、これまでの受験準備が、ある意味いい加減なものだったと認めるようなものだからです。
いい加減なものだったという認識は、自信を削ぎ、前向きなやる気を弱めるきっかけになりかねません。
校風から始まり、さまざまな観点から絞り込み、出題傾向の分析を基に、
問題と本人との相性までも吟味し、今や出題傾向に対する対策に明け暮れている日々のはずなのです。
ではどうするか。
本人に、そっと、ささやくのです。
「ここまできたら、十番以内で合格しよう!」
場合によっては、
「一番で受かれ。お前にはそれが出来る。」
でもよいかもしれません。
手の届く範囲で目標を高め、同時に本人の誇りをも高め、ポジティブな情動を強固にしてゆくには打って付けだと思っています。
是非参考にしていただきたいと思います。
もちろん実際は、個々人の個性や周囲の環境、また置かれた状況など、さまざまでしょう。
ですから、もっと木目の細かい配慮が、当然必要になって来るでしょう。
先程の志望校のランクアップにしても、ずっと、出来たらこの学校と思っていたような場合なら、もちろんOK。
正に願ったり叶ったりでしょう。
私の挙げた三区分を参考に、情動を利用・活用することを、ぜひ実行してみて下さい。
そして本人を励ます時、前々回にお伝えしたように、メッセージに情動を乗せることも忘れないでいただきたいと思います。
私達大人も、与えられた一度きりの人生を、毎日、諦めず、逃げず、投げ出さずより善くするために頑張っているんだという、ポジティブな情動を載せてください。
ですから、「がんばれ」よりは「がんばろう」が適している場面も出てくると思います。
入試突破を通して、こうした情動の利用を実感させることができれば、実は、合格にも劣らない大きな成果を上げられた、と言えるでしょう。
次回も情動の利用・活用について触れるつもりです。