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EQの開発④情動に関する知識のまとめⅦ EQ開発講座

2012.11.24

これまで何度も、思考と情動とは切っても切れない関係だと申し上げてきました。

情動が生じなければ思考・判断・決断は不可能ですし、思考がなければ、ごく稀な緊急事態を除いては情動も喚起されないのです。

研究者達はこの事を、実証的に明らかにしています。

結局、情動と思考との調和・協調・統合がEQ開発のツボだと思われます。

情動は驚く程コントロールできる、ということをすでにご紹介しました。

その方法も詳細にご紹介しました。

全て、この情動と思考との密接不可分の関係から解明されたことでした。

出来事と、情動の変化との間には、何らかの思考(認識・評価)が介在しその思考を変化させれば、情動も変化します。

つまり、見方をちょっと変えただけで、気分が全然違ったものになるのです。

この事実は、誰もがごく自然に体験するものではないでしょうか。

これを、一つの知識として活用するかどうかで、EQの働きが大きく変わってきます。

これも繰り返しになりますが、EQの働きを助けるものとして、楽観性の重要性もご紹介しました。

そして、その楽観性の高め方についても、かなり具体的にさまざまな方法論をご紹介しましたが、

結局のところ、そうした方法論の大本も、この思考と情動との関係にあります。

情動は自分の置かれた環境をどう評価するかで変化します。

悪く解釈すればネガティブな情動が起こり、肯定的で、寛容な解釈をすればポジティブな情動が起こります。

これは多くの研究結果から明らかにされている事です。

その繰り返しが、思考の習慣となり、潜在意識にも働きかけ、楽観的か悲観的かを決めて行くのです。

これを脳科学者の中には、思考の新しい習慣が形成されると、脳神経の配線が根本的に変わる(神経の可塑性)という人もいます。

もっとも、ポジティブであるという特性に及ぼす、遺伝的影響力は、五十パーセント程度と証明されてもいますので、

悲観的傾向を持つ人が、楽観的傾向を身に付けるためには、それなりの継続した努力は不可欠だと言えます。

このように、思考サイドからの働きかけで、情動を変化させたり、コントロールしたりすることをお伝えしてきたわけですが、

今回はその逆をご紹介したいのです。

情動の思考に対する影響については、大まかな、ポジティブかネガティブかだけについては、すでにお話ししました。

ポジティブな情動のなかでは、思考は拡張し、いろいろなアイデアが出やすくなり前向きな論理展開をする一方、

慎重さが薄れ、注意力が落ちる。

ネガティブな情動のなかでは、思考は狭くなり、柔軟性がなくなり、アイデアは出にくくなる一方、注意力は増し、細かなミスにも気づき易くなる。

こうした知識を使って、企画力が問われる場合は務めてポジティブな情動を呼び起こし、

慎重さが問われる場合には、務めて、ネガティブな情動を呼び起こすようにすることを、研究者たちが薦めていることを紹介しました。

子供たちに対しては、特にケアレスミス防止の対策として、この知識の活用をお薦めしたはずです。

情動の呼び起こし方についても、楽観性の身に付け方のところで紹介した方法と重なるものですが、

言葉・情景・音楽・動作・人物などのストックを使うことをお教えしました。

実は情動や気分は、思考の質を高めるために、もっと多様に活用できることが実証されているのです。

研究者によってまちまちのところはありますが、平均的なところで申し上げれば基本感情としては、次の六つが挙げられるようです。

喜び・怒り・怖れ・悲しみ・驚き・嫌悪です。

通常、私達は、これらの感情の入り混じった情動を、刻一刻と抱えている訳ですが

こうした情動が、思考をより確かなものにする手助けになると言うのです。

例えば、喜びの感情は、私達を元気付け、やる気にさせ、思考のエネルギーを補ってくれ、他人との関係を良好なものにするために、

積極的に思考することを後押ししてくれます。

怒りは、通常、その排除が重要視され、排除の方法論が議論されます。

しかし破壊や破滅を導く危険性を持ちつつ、不誠実や不公正の存在を示唆してくれますし、正義を貫こうとする思考や行為を支えてくれるという評価もあります。

特にEQに関わる研究者の基本的な考え方は、人間の持つ感情の中に無駄なものは無いはずで、

すべて、七百万年という生存の歴史に必要だったというのです。

とても説得力のある考え方ではないでしょうか。

同様に、怖れは将来に向けた注意力を強めるし、驚きは考えをリセットさせるし、

悲しみは、喪失という現実と向き合う思考を呼び起こし、嫌悪は文化的・社会的に自分の許容範囲の判断を示してくれる、と言われています。

次回、さらに活用法を深めて行きます。