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2012.11.29
情動を活用する前提として知っておくべき事項がいくつかあります。
今回はまずその紹介から始めます。
気分が良い時と気分が悪い時とでは、思考や判断に違いは出てくるでしょうか。
機嫌が良い時と不機嫌な時と言い換えても構いません。
明らかな違いがある事が実証されています。
具体的には、機嫌が良い時には、物事を肯定的に見やすいようなのです。
肯定的に見るというのは、肯定的な面を注視し、否定的な面を無視する傾向があるということです。
反対に、不機嫌な時には、否定的な面を注視する傾向があると言われます。
これは経験上、すこぶる納得のいく結論ではないでしょうか。
人に何かお願いごとをする時や、何か許しを請う時に、相手の機嫌の良い時を見計るのが、当たり前です。
ただ、ここでやっかいなのは、こうした気分による思考のブレや判断のブレにその本人がなかなか気づき辛いという事です。
この点について、研究者たちは、重要な判断については、この気分の影響を自身で考慮することを薦めています。
そして、気分や情動の好ましくないバイアスを取り除いくことも、EQ発揮の重要な場面の一つといえるでしょう。
さらに、コミュニケーション上の活用として、場面を広げて考えると、
何らかのバイアスの存在が考えられる時は、充分それを考慮に入れる必要性に気づきます。
つまり、上機嫌の中で下された判断は、後日、判断した本人がその内容について、疑問を抱き易いという事です。
ですから、後から、「あれは、やっぱり撤回させて欲しい」などという事態が充分考えられる訳です。
逆に不機嫌の時に得られた返事は、たとえそれが否定的なものであったにせよ、まだ交渉の余地はあるかもしれない、という事になるでしょう。
こうした気分や情動の働きについて、子供にも早い時期から教えるべきです。
具体的には、明らかにバイアスが掛かっていると思われる時には、後での訂正に機会を与えておきつつ、その意味を、よく説明してあげるのです。
気分や情動に支配されていないかどうか、点検してみることの重要性とそのコツを教えてあげるのです。
こうした指導は、特に友人付き合いやクラス運営での、良好な人間関係の構築に大いに役立ちます。
良好な人間関係は、楽観性の醸成や自信の創出につながり、当然のこととして学力の向上にも寄与します。
こうした気分や情動の不適切な影響に気付いたり、それを排除したりという、EQの使い方は、言わば、気分や情動に対する消極的な活用といえるでしょう。
これに対して、今度は一歩進めて、積極的な活用を考えていきましょう。
直面する課題や問題の解決に役立つ思考をサポートする、気分や情動を呼び起こす事を考える訳です。
言い換えると、自分の気持ちを、どうしたら眼前の課題や問題の解決に、最も適したものにできるか、ということです。
自分の欲する気分や情動を手に入れる。
手に入れるための道具は、もう既にみなさんの道具箱に入っているはずです。
リラックスした気分、少し悲しい気分、明るいやるき満々の気分、など。
それを呼び起こすきっかけになる、言葉や思い出や絵やメロディーや人や風景。
効果のある物をどんどん貯めているはずです。
何度も申し上げていますが、何しろ試してみないとだめです。
私も最初は苦労しましたが、「アーこういう事か」と思えてからは、続けざまに道具が揃いました。
必ず自分にあった道具が見つかります。
小学生でも十分理解し、実行できます。
頑張っていただきたいと思います。
ただ、道具が揃ったからと言っても、いつも簡単に狙った気分や情動が手に入るとは限らないようです。
やはり、そこでの試行錯誤がまた要求されてくるようです。
しかし、この段階では、EQの何たるかとその働きは十分自覚できるので、何しろ実践してみる事をお薦めいたします。
こうした方法論に付け加える、最終兵器とも呼ぶべき、これは訓練法と言う表現の方が合うかもしれませんが、次回それをご紹介いたします。