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2012.12.4
「直面している課題や問題を解決する思考」を支える気分や情動を創出する最終兵器とは何でしょう。
気分や情動の創出自体が、そのまま仕事の主要な部分になっている人たちがいます。
これがヒントです。
もっとも、フランクリン・ルーズベルトは「大統領は、アメリカで一番の俳優になる必要がある」と言われたそうなので、
このメッセージを尊重すると、正解はちょっと違ってくるかもしれません。
そうです。
俳優養成のカリキュラムです。
演じる人物になりきる。
ふさわしい情動を、自らの中に創り出す。
芝居の世界でとても有名な理論に、「スタニスラフスキーの理論」があるそうです。
その内容は、かなり詳細に方法論が説かれているようですが、私達でも使えそうな主要なコツは、次のような点にあると思われます。
ある特定の気分なり気持ちを手に入れようと思ったら、まず、リラックスして、開放的な気分になることです。
このリラックスすることが、気分創出の第一歩だとスタニスラフスキーは教えています。
リラックスの仕方は、以前から何度もお話ししている方法を駆使すれば、それほど困難なことではないはずです。
まず、深呼吸を数回行って、自分の道具箱の中から、リラックスできる言葉や情景・映像・物語・人物・絵画などを取り出して、こころの中によみがえらせるのです。
不足を感じたら、どんどん細部まで丹念にイメージを追いかけて行けば、やがて、力みのとれた開放的な気分になっているはずです。
その上で、想像力を高め注意力を高め、作り出したい情動の記憶を呼び起こすのです。
この時、その情動に付随した感覚も、出来るだけ詳細に再現することが大切だと教えています。
触感、音、匂い、味、温度や湿度、呼吸や拍動の様子などです。
そして、最終的に、思考の在り方を変化させていく訳です。
こうした芝居に関連した能力の開発は、実は学校教育でも昔から行われてきたことです。
例えば、国語の授業での朗読です。
物語の朗読で、聞き手に情景を想像させるようにとか、登場人物になったつもりでとか、登場人物の気持ちを想像してとか、指導を受けた記憶が誰にもあるはずです。
これから、こうした指導の重要性が再認識されていくのではないでしょうか。
芝居に関連して、一つ、付け加えたいことがあります。
情動の識別・認識に関することです。
コミュニケーションの相手の情動や気分の読み取りの練習にも、芝居が活用出来ると、専門家たちは教えています。
具体的には、映画のVTRを、音声なしで観て、登場人物の心情を推測する、というものです。
心情とともに、場の雰囲気や複数の人々の情動の絡み合いとその変化も想像してみるというものです。
簡単そうに思えますが、以外に難しいものです。
コミュニケーションの捉え方を、また一つ考えさせられると思います。
次回、いくつか補充したいことを申し上げて、心理学・脳科学の基礎知識については一応終了したいと考えています。