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2013.1.4
私が辿り着いた、最新式の自転車を手に入れる方法は、念力でした。
当時、旺文社から中一時代、学研から中一コースという月刊誌が出ていました。
どちらだったかは、定かではありませんが、その本に付録として、オカルトが特集されていたのです。
古代宗教やら宇宙人やら様々な超自然現象が、さも現実に存在するかのように紹介されていたのです。
その中に、欲しい物を、目の前に出現させる呪術があったのです。
白い紙に、図形のような文字のような、幾つもへんてこりんな模様を、マジックを使って書きました。
随分苦労したような記憶があります。
そして呪文です。
これが何とも長たらしくて、覚えるのが大変でした。
記事によると、毎晩、その模様を描いた紙を枕の下に置き、何も見ずに、その呪文を一心に唱えるというものでした。
何回かなど、もちろん覚えてはいませんが、結構長い時間かかった記憶があります。
十分や二十分はやっていたと思います。
しかも、確か、誰にも見られてはならないのです。
そして、なにしろ、一定期間、毎晩行わなければ効果は表れないのです。
毎晩、毎晩、苦労しました。
姉たちや母の動向を観察しながら、頃合いを見て二階にあがり、呪文を唱える。
しばらく続けると、朝目覚めるといの一番で、玄関に走り込む。
玄関に自転車があるはずなのです。
「無い」
そうか、呪文の回数を間違えた日があったんだ。
あの日大丈夫だと思っていたけど、やっぱり、下の姉に見られていたんだ。
などと反省をするのです。
その内に、やはり子供だったんですね、忘れてしまうんです。
数日して思い出し、「いけない、いけない、何やってんだ俺は」
とまた儀式を再開する。
そんな事を何度も繰り返したある日。
四月の初めから始めて、ひと月半位経ったときだと思います。
朝目覚めてすぐ、玄関に駆け下り、自転車の無いことを確認したその瞬間
私は判ったのです。
こんな事をしていては、永遠に自転車は手に入らない、という事を腹の底から
理解したのです。
要するに、自分に、自分の欲しい自転車を手に入れる力が無い、だけの話なんだ。
自分に力さえあれば、こんなバカな事をせずとも自転車は手に入るんだ。
翌日、行動を開始しました。
その様子は次回にしましょう。