中学受験・高校受験・大学受験・帰国子女を含む英語教育全般および
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2013.1.14
前回お話ししたように、学校中に知れ渡り、町内会の人たちを巻き込んでの捜索が行われる程の
大事件を起こした、遠藤と私なのですが、その後、全くと言っていいほどの没交渉でした。
無意識の内にけん制し合っていたのかも知れません。
そんな私が、突然、彼に近寄っていったのです。
私が彼との接触を決断した理由は、只一点、新聞配達の職の斡旋でした。
当時、遠藤の家では、母親と三兄弟、四人家族全員で新聞配達をしていたのです。
この話は一つの美談のような形で、知れ渡っていました。
その情報を頼りに、私は遠藤に、販売所への橋渡しを頼もうとしたのです。
弁当を食べた後、彼の教室まで行き、外に連れ出しました。
仲が良いとか悪いとかという次元ではない、ほとんど何年間もの長い間、
お互いに見ることはあっても、言葉を一切交わしたことが無い特別な関係でした。
私は単刀直入に、「新聞配達をして稼ぎたいから何とかしてくれ」と頼みました。
彼は二つ返事で請け合ってくれました。
私は当然そうなるという、一種の確信を持って、遠藤を頼って行った気がします。
数日後、私の仕事が始まりました。
母からは、猛烈な反対がありました。
母はどんな困ったことがあっても、一切自分で解決しろと言って、最後は断絶状態になってしまいました。
販売所には、実際に配達する子供たちを束ねる、元締めみたいな人が数人いました。
私の担当は黒川という、背の高い、見るからに怪しい雰囲気のある、怖い感じの人でした。
黒川さんとはその後、やはり私の人生に大きな影響を与えたと思える事件が起きるのですが、それについては後日に回しましょう。
片面刷りの折り込み広告を、お札位に切りそろえ、紐を通して束にし、
その一枚一枚に一軒ずつ、順路順に、配達先を書き込んで分厚い配達帳を作った事を覚えています。
この仕事を通じて、本当に色々な家があり、色々な家庭があり、色々な人が生きているという事が、生まれて初めて実感できました。
その詳しい様子についても、次回触れておきたいと思います。