中学受験・高校受験・大学受験・帰国子女を含む英語教育全般および
教材の出版とテスト会の運営、EQ育成などトータルサポートする田島教育グループ
2013.10.20
私の部屋に入って来た生徒が、「先生これでいいんだろ」と言いながら、紙の片面を埋めた詩を差し出してきます。
私はチラっと確認して、すぐに、「これをゆっくり大きな声で読め。」と命じます。
すると、「え?今ですか?」 「ここで?」 「先生の前で?」 等とうろたえ出す者がほとんどでした。
本人たちは何となくでしょうが、既に感ずいているのです。
書いていた時にも感じていた、自分の心のざわめきを。
何かしら、心の中で込み上げてくる情動を。
「何ぐずぐずしてるんだ。早く読め。」
私に急かされるまま読み始めます。
ほとんどの生徒が、十数行止まりです。
言葉に詰まり、声に詰まり、黙ったまま嗚咽をこらえるのがやっとの様子でした。
もちろん、中にはさめざめと涙を流し始める子もいました。
すかさず、私は言います。
「やっぱりお前は、俺が思っていた通りのいい奴だったんだな。
本当は、ちゃんとお母さんへの感謝の気持ちも忘れていないりっぱな奴なんだよ。
ただ、どうしてなのか、それが素直に出せないんだなお前は。
これからは出来るだけ、本当のお前で生きてみろ。
今日の事は、ここだけの事にする。
お前の同意が無い限り、絶対に他言はしない。約束する。
お前も、もう塾で俺に世話を焼かせるようなことはするなよ。」
以後、例の模試会場からの脱出劇は無くなりました。
ただ詩を書かせた生徒の内、確か数人退塾者が出たはずです。
次回に続きます。